オイル漏れ修理でアウディのミッションを降ろしました。クワトロなので少々お時間がかかります。
ここのクランクシャフトからのオイル漏れです。
クランクオイルシールを交換します。実は直噴エンジンになってからのこのワーゲンのオイルシール交換は少し特殊です。修理後にオイル漏れ再発というのも国内外で珍しくなく、間違って取り付けられている車両も多いようです。ミッション修理のついでにクランクシールを交換し、すぐにオイル漏れが発生した場合は100%オイルシールの組み方が間違っています。
新品のクランクオイルシール。見た感じは普通のオイルシールです。これをポンと渡されて交換しろと言われたら、摺動部分を綺麗にして薄くグリスを塗ってシャフトに押し込んでとりつけます。経験豊富な整備士を10人連れてきたら、おそらく全員がそうします。
しかし。
それは間違っています。このワーゲンのクランクオイルシールは押し込んで取り付けしてはいけません。
リップ部分を逆に取り付けする必要があります。
普通に取り付けるとこうなります。リップ部分が見えるのが普通なのです。しかし、この状態で組み付けてるとアイドリング状態で数分で床にオイルの雫が落ちます。
このエンジンに限っては正しく取り付けるとこうなります。リップ部分が見えたら駄目なのです。リップ部分をエンジン側に向けるように慎重に取り付けます。 真逆の取り付け方ですし、専用工具がないと厳しいのですがこうしないと駄目なのです。
せっかく原因がわかっても、その部分の修理方法についての正しい知識と技術が無ければ直すことができず、原因がそこなのに今度は違う原因を探そうとしてどんどん
ハマっていきます。
たかがシール交換なのですが、色々あるのです。
他にも例えばこのオイルシール取り付けはベース部分に液体ガスケットを継ぎ目なくグルっと一周盛り付けてから取り付けますが、、
この液体ガスケットというかボンドはただグニュっと歯磨き粉のように出せばよいのではなく、最大3mm幅と決まっています。更には右は何ミリの方が良く、左は何ミリ、下は何ミリというコツまであります。 ちなみにこれらの技術はマニュアルには載っていません。
作業後は長時間のアイドリング放置、試運転後さらにアイドリング、また試運転と繰り返し、オイル漏れが無いことを確認して終了です。画像のように滲みすらないので安心です。