森本です

  1. メンテナンス・工場
  2. 481 view

オイル漏れ修理でアウディのミッションを降ろしました。クワトロなので少々お時間がかかります。

ここのクランクシャフトからのオイル漏れです。
クランクオイルシールを交換します。実は直噴エンジンになってからのこのワーゲンのオイルシール交換は少し特殊です。修理後にオイル漏れ再発というのも国内外で珍しくなく、間違って取り付けられている車両も多いようです。ミッション修理のついでにクランクシールを交換し、すぐにオイル漏れが発生した場合は100%オイルシールの組み方が間違っています。

新品のクランクオイルシール。見た感じは普通のオイルシールです。これをポンと渡されて交換しろと言われたら、摺動部分を綺麗にして薄くグリスを塗ってシャフトに押し込んでとりつけます。経験豊富な整備士を10人連れてきたら、おそらく全員がそうします。

しかし。
それは間違っています。このワーゲンのクランクオイルシールは押し込んで取り付けしてはいけません。
リップ部分を逆に取り付けする必要があります。

 

普通に取り付けるとこうなります。リップ部分が見えるのが普通なのです。しかし、この状態で組み付けてるとアイドリング状態で数分で床にオイルの雫が落ちます。

このエンジンに限っては正しく取り付けるとこうなります。リップ部分が見えたら駄目なのです。リップ部分をエンジン側に向けるように慎重に取り付けます。 真逆の取り付け方ですし、専用工具がないと厳しいのですがこうしないと駄目なのです。

せっかく原因がわかっても、その部分の修理方法についての正しい知識と技術が無ければ直すことができず、原因がそこなのに今度は違う原因を探そうとしてどんどん
ハマっていきます。

たかがシール交換なのですが、色々あるのです。

他にも例えばこのオイルシール取り付けはベース部分に液体ガスケットを継ぎ目なくグルっと一周盛り付けてから取り付けますが、、

この液体ガスケットというかボンドはただグニュっと歯磨き粉のように出せばよいのではなく、最大3mm幅と決まっています。更には右は何ミリの方が良く、左は何ミリ、下は何ミリというコツまであります。 ちなみにこれらの技術はマニュアルには載っていません。

作業後は長時間のアイドリング放置、試運転後さらにアイドリング、また試運転と繰り返し、オイル漏れが無いことを確認して終了です。画像のように滲みすらないので安心です。

.

関連記事

森本です

GLAのドラレコ取り付けです。最近はリアカメラとセットの2chが主流ですが、ゲート付きの車両の場合は取り付ける側(自分ですが)はきっちり作業しないと見た目も視認性も悪く…

  • 49 view

森本です

直進で違和感があるというVW R32が入庫です。点検するとリアアームのブッシュが抜けかかっていました。アームを外すとブッシュが取れてきました。ブッシュ…

  • 208 view

工場ご利用のご案内

当社工場はお客様のご予算にあわせてディーラー物パーツ、リビルトパーツ、社外パーツ、中古パーツなどをご相談させていただきます。お客様の一番良い方法でのトラブ…

  • 33 view

小林です

今回は、修理依頼されたお客様のベンツ R231 SL63 AMG です。トランクが開かなくなったり、閉まらなくなったり…

  • 1478 view