ちょっと話が後半から脱線する少々マニアックな記事です。
これはラムダセンサーと呼ばれるものです。排気ガスの濃度を検出するセンサーで排気管に必ず刺さって取り付けられています。間違った認識をしている方がいますが、これは昔のo2センサーとは違います。ガソリンを完全燃焼させるときの理論上の比率は空気14.7に対してガソリン1です(空燃比と言います)。あくまで理論上ですが、この「14.7」をコントロールすることで燃費の向上や排ガスの浄化を見込めます。
o2センサーはこの14.7を基準に燃料の濃い薄いだけをエンジンECUに送っているのに対し、ラムダセンサー(ワイドバンド)は10~20までの細かい空燃比を計測しECUエンジンに送っています。 燃料の増減はアイドリング~高速域まで重要で14.7のままだと実はパワーは得られません。先に書いた理論空燃比である14.7ではなく、もう一つ「パワー空燃比」という最もパワーの出る空燃比があり、それが12という数字です。 車というのは予めECUでプログラミングされたラムダ値というものがあり、14.7という環境を考えた空燃比と同じく追い越しなどで使われるパワー空燃比というものも考慮してプログラムされています。基本的に濃くするとトルクが増えますが回転は重くなり、逆に薄くすると回転は軽くなりますがトルクがなくなります。
ECUのプログラムを開くとこんな感じになっていて「マップ」と呼んだりします(某社外ロムの中身だと思ってください)。縦軸が圧力、下が回転数です。画像では3500回転でブースト0.8の時の数値は0.82とあります。
理論空燃比14.7×0.82=12.054
よってパワー空燃比に近いということです。アクセルを深く踏み込んでパワーが必要な回転域ではこのように燃料を濃くしています。マップ上では圧力が100以下(正圧以下)、3000回転までの領域はすべて1となっていますので14.7の理論空燃比で走ることができます。これを意識すると燃費が抑えられます。
さらにマフラー交換などをした場合やトルク感が欲しい場合は燃費を気にせずマップを全体的に書き換えて増量します。少し弄ってこのように濃くすると理論空燃比14.7×0.806=11.8482になり、トルクが増えます。マフラーを変えて燃料が薄くなった分、このように書き換えて増量していきます。
※あくまでザックリな説明です。本来はこのマップの他にもアクセル開度、燃料マップや点火マップ、補正マップなどもあります。
ちなみにですが、
マフラーを変えて「抜けが良すぎてトルクがなくなった」という方がいますが、それは逆です。
例えばこのマフラーを
こんな感じで太くします。太くすると流量は増えますが「流速」は減ります。つまり抜けづらくなっているのです。水道ホースと一緒でホースを潰すと勢いがありますが潰さないと勢いが落ちます。太くすると音が大きくなりますが、対応できる流量が増えただけで流速が遅いので排気ガスがエンジンから素早く排出されないのです。 その変わり、高回転などでは流速よりも流量が重視されますからパワーが上がります。 マフラー交換をした後、この辺りを考慮して上に書いたマップを書き換えるのが理想なのです。
滅茶苦茶に脱線して書きましたが、結論としてラムダセンサーは凄く重要だということです(笑)
劣化や汚れを放置すると性能が発揮されず正しい空燃比になりませんので燃費の悪化、パワーダウンに直結します。センサー本体は高価ですが定期的に交換するべきパーツでもあります。