先日、BMW MINI クーパーSのクラッチOHをしました。冷間時の半クラで「キャキャッ・・」っと猫の鳴き声のような異音がするのです。暖まると音はしなくなりますが、明らかにクラッチからの音でした。
ミッションを降ろすにはとにかくバラバラです。森本も泣きそうです。エンジンごと降ろした方が早いという情報もありましたがエアコンのガスや燃料ラインを切りたくなかったのでミッションのみ降ろすことに。
バンパー、ラジエターなどの顔面を分解して、チャージャーのスロットルやクーラーを外したら足回りを分解してフロントサブフレームを降ろします。
こんな感じです。もうホント泣きそうな作業です。
フレームを降ろして下から見上げた感じ。これでミッションが丸見えになります。セルモーターなども外します。いや~大変な作業です。
これが降ろしたサブフレームです。ステアリングラックはタンク付きで降ろします。R50(初期型MINI)はパワステが電動ポンプなので配線だけを切り離せばOKです。ここからミッションを降ろします。
降りました。 重さは50キロくらいでしょうか。ジャッキ無しで人力で降ろしました。
上が新品。下がダメダメクラッチ。
ディスクの摩耗がわかりますね。リベット(丸い部分)まで僅かしかありません。それよりも均等にディスクが当たっていない様子もありましたので、おそらくディスクが熱で変形して歪んでしまったのかも知れません。半クラッチを多用する使い方をするとこうなります。
これが新品。純正と同じLUK製です。
レリーズベアリング(クラッチカバーを押してクラッチを切り離す部品)とベアリングの摺動軸となるスリーブも同時に交換します。ミッション内部はクラッチの摩耗により真っ黒に汚れてます。ホイールのダスト汚れのもっと酷いやつですね。普段洗浄できない部分ですので。これは灯油やクリーナーで徹底的に洗浄してから画像のようにベアリング等を組み付けていきます。オーナーさんの使い方によってはこの車は一生ミッションを降ろすことはないかもしれませんので今出来る作業はすべて行います。面倒ですが(笑)
ミッションとエンジンの合体が中々うまくいかず、時間が相当かかってしまいましたが交換後はペダルを踏み込んで僅かにペダルを浮かせるだけでクラッチが繋がり運転が楽になりました。クラッチは現代のレベルでは軽い方ではありませんが早いシフトチェンジもできるようになり運転が楽しくなったはずです。
今でこそDSGなどの2ペダルマニュアルボックスが主流になりつつありますが、3ペダルはやはり楽しいです。森本の愛車である大改造アウディもマニュアルミッションですが9万キロ近く走ってますがまだ異音もありませんが、ブーストがかかった瞬間に若干滑ることはありますので純正よりも圧着力や摩耗しずらいディスクを使った所謂「強化クラッチ」の導入を検討してます。クラッチの寿命を延ばすには半クラッチをあまり使わない事です。ディスクとフライホイールの回転差を極力無くす意識しすること。アイドリングで発進する、シフトダウン時は回転を合わせる、クラッチペダルには操作時以外は足を乗せないなど。 シフトアップ時にギクシャクするのは回転が合っていないから。それに悩んでいる方は例えば1速から2速へチェンジする場合だと
クラッチを切る → 1速から2速へ → クラッチを離す
ではなく、
1速から2速へシフトレバーに若干ちからを入れておく → クラッチを切る → 勝手に2速に入る(勝手にスッと入ります) → 入った瞬間にクラッチをスパッと離す
これでOKです。 2から3速でも4から5速でも全部同じです。クラッチはスパっと切って(ペダルをガンッと踏む)スパっと繋ぐ(ペダルから足をすぐ離す)。これが発進時以外のクラッチの摩耗とミッションを労わるコツです。マニュアル操作は奥が深いですが慣れてくると楽しいです。
クラッチが重たい、1速やリバースに入りずらいなどはクラッチの寿命のサインです。レッカー車のお世話になる前にご相談くださいね。
明日から気温がまた上がるようです。水分を多く取り熱中症にご注意ください。自分はスイカを沢山食べてます。